私は逆に現在のこれっぽっちのために、
過去の全部を否定してもかまわないと思っている。
過去を評価するために、現在がごまかされて、
いいかげんにされ、スポイルされるよりは。
現在、私が生きているということ。
ここに息をし、動きまわり、まちがいもし、
放言もする。このなま身の人間なしにいかなる
古典も伝統もへったくれもありはしない。
過去の遺産がけっこうだといっても、
それは私がいまそう思い、今日現在的にその価値を認め、
それを活かすからにほかならない。
その情熱と、実力によって過去がささえられるのです。
出典:日本の伝統
著者:岡本太郎