職人ってのは、良い作品を作るだけが仕事ではない。

 

こんにちは、松井です。

今回は、僕が個人的に好きなマンガ、「アルテ」を紹介します。

 

「好きを仕事に!」ということが、

YouTuberやTicTokerなどのインフルエンサーを中心に
うたわれている令和において、

主人公アルテには、いつも勇気づけられます。

 

というのも、

「好きを仕事にするとは、どういうことか?」

について、このアルテでは、よく描かれていて、

そして、その命題に挑んでいくアルテの姿がかっこいいのです。

 

と。先に簡単に、アルテの物語を説明しますね…。

 

アルテの物語の舞台は、ルネサンス期のイタリア・フィレンツェ。

絵描きが好きな、ひとりの少女「アルテ」が、
(貴族出身であるにも関わらず、)
画家職人を目指し、職人の世界で生きていく物語です。

 

ルネサンス期のイタリアにおいて、

画家職人は、「男の仕事」であり、
貴族の女は、「よい結婚すること=人生の成功」

だというのが、常識でした。

そのような時代に、
貴族の女であるアルテが、画家職人を目指します。

時代の影響もあって、当然、その道は順風満帆とはいえず、

様々な周りからの反発、周りとの軋轢、自分自身の想いとの葛藤など、
さまざまな困難に直面します。

しかしそれでも、彼女は、前に進みます。

時には迷いながらも、
そのたびに、顔を上げ、前に進んでいきます。

 

かっこいいっすよねぇ。

僕自身もプログラミングが好きで、
ITエンジニアをやっているのもあって、アルテのその姿に勇気づけられます。

僕は、現在、フリーランスでITエンジニアをするようになって、
だいたい2年ほどになりますが、

時折、このアルテを読み直すなかで、
自分自身の仕事へのあり方を見つめ直すこともありますし、

勇気づけられるし、学びの深い漫画だと思います。

 

今回は、その「アルテ」のなかでも、
特に、これ大事よなぁ、と僕が思っている言葉を紹介します。

 

職人ってのは、良い作品を作るだけが仕事ではない。

「職人ってのは、良い作品を作るだけが仕事じゃない。

もちろんそれも大事だか、
それ以上に 物を売って生きていくには必要なことがある。

充分な仕事を手に入れることと、
その仕事で利益を得られるようにすることだ。」

職人として、自分の作品(や技術)に価値があると
信じているからこそ、

ちゃんとその対価をもらえて

その価値を
(自分だけでなく、)
相手にも認めてもらえる状態を作ることは、

大切だよなぁ、と、
このシーンから考えさせられます。

 

正直これは、
僕自身への〝戒め(いましめ)〟的なところでも
ありますね…。笑

僕は小さい頃から、パソコンで遊ぶのが大好きで、
その延長線上で、プログラマーになって、
現在、フリーランスで、ITエンジニアをやっているってところがあります。

 

なので、正直、あまりお金には無頓着で、

毎日、自分が好きな
パソコンでモノづくりをさせてもらえる

ってだけで、かなり幸せ〜!! っていうのは思います。

なんなら、こんなに楽しいことしてるのに、
それでお金ももらえるなんて、ラッキーやなー! って感じです。

(当然、楽しいことだけではありませんが!)

 

だからこそ、

そんなに給料に関係なく、(かなり安くても、)
全然仕事もらえるなら、ありがたく働きますよ〜!!

ってスタンスもとろうと思えば、とれるわけです。

(実際に、そういうスタンスで仕事をしてる時期もありましたしね。)

 

でもそれって、かなり自己満足的で、

「自分が扱っている技術への敬意がなかったな」

と、いまでは思っています。

 

というのも、

毎日、職場にいって、パソコンをひらいて、
キーボードをたたいて、プログラミングをしているのは、

他ならぬ自分自身ではありますが、

別に、プログラミングスキルというのは、
僕のものでは、ありませんから。

 

たしかに、

「僕が身につけたスキル」という意味では、
「僕のもの」といえるかもしれませんが、

プログラミングスキル自体は、
いろんな本を読んで、様々な著者から教えてもらったり、
会社の先輩から教えてもらったり、
インターネット上の先人たちから教わってきたものです。

だからあまり、
「自分の技術」とは思わないように、僕はしています。

 

そう思うようになったきっかけは、

先日、とある飲み会で、
大学講師をされてる方と話してるときに、
(その方は、歯車の研究をされてる方でした。)

ポロっと出た言葉でした。

 

その言葉を聞いて、
まさにそのとおりだなぁ、と思ったことがあって。

それは、

「僕は、自分の研究の結果で、
いろんな特許をとっているけど、

でもそれは、
自分の知識を使っているという感覚はなくて、

先人たちの知識をお借りさせていただいてる
って感じなんだよね」

ということでした。

 

その話を聞いて、僕はハッとさせられまして。

自分がもっている知識や技術っていうのは、
心のどこかで、

「自分の苦労のすえに、手に入れたものだから、
自分の自由に使ったらいいじゃん!!!」

と、思ってるところあるなぁ…、と気付かされました。

 

でも、その知識や技術を自分が手にしている
現在、いまこの瞬間、っていうのは、

長い時間軸からみたら、ほんの一部にしかすぎなくて、

過去の先人たちが、
何年も、何十年も、何百年も積み上げてきた
「努力の結果を手にしているだけ」

にすぎないんですよね。

 

他人がつくった料理をたべて、
美味しい美味しくないをいうのは、簡単ですが、

いざ、自分で食材を買ってきて、料理すると、
美味しい料理をつくるのって、思ったより大変なんだな…、

と、実感したことがあるひとも多いのではないでしょうか。

僕もついこの間、久しぶりにカレーを自分で作ったら、
分量な悪かったのか、味が薄くて、残念な出来でしたし。笑

 

 

話を戻すと、

先人たちの積み重ねである、プログラミング技術を
(自分は楽しいからいいからと)安売りするのは、
その技術への敬意が足りてないよね、

って話でした。

 

たしかに、自分はいいからと、
その技術への価値を安く見積もり、
相手に与えようとするのは、本人の自由だと思います

が、

では、その技術をそこまで積み上げてきた
先人たちの想いは、どこへいってしまうのか…?

と、頭をよぎります。

 

彼らがこの技術へ注いだ、熱意や願い、汗や努力は、
いったい誰が感じてあげられているのだろうか。

そう考えたとき、
それを一番感じられるのは、

まさにいまこの瞬間、
その技術を手にしている僕ら自身だと、

そう思うのです。

 

だからこそ、

その想いを無下にするようなこと
(価値を低くみること)は、してはならん。

と、
僕は思ってます。

 

無論、「高いお金をとること=高い価値の証明」とは
ならないので、そこには注意が必要ですが!

 

…と、ここまで、
〝技術〟にフォーカスして話してきましたが、

この話は、身の回りにある様々なものにも言えます。

 

普段、食べている料理にも、

その料理には、作ったひとの想いや、
農家や漁師のかたの想いがあって、

いま目の前に届けられていますし、

普段、会社であつかっている
たった1枚の書類であっても、

社長や営業、先輩、上司などの手を経て、
自分のもとに、届けられています。

 

なんというか、そういう背景がみえると、

自分の仕事への見方も、

そして、周りのひとへの仕事の見え方も
変わってくるんですよね。

 

僕としては、

「みんなここまで繋いでくれたし、
しゃーないから、おれもいっちょ頑張りまっか!」

って、感じに思ってます。(急に軽くなりましたが笑)

 

「好きを仕事に!」のなかの

「好き」は、
(どちらかというと、)利己的な感情であり、

「仕事」は、
(どちらかというと、)利他的な行いです。

 

だからこそ、

「好きを仕事に!」を実現するためには、

〝利己〟と〝利他〟

の両方のことを考える必要があるし、
そのバランスをとることが大切だと、僕は思うんですよね。

 

 

とはいえ、

当然、僕も日々、修行中です。

 

やはりねー、気をつけないと、

周りのひとへの配慮や、敬意が薄くなっちゃうときが
全然ありますし、

自己中心的になることも、ありますねー。笑

 

そのたんびに、己を見つめ直してます。

ホント、日々、修行ですわ。

 

では、今日はこのへんで。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!